タール色素はタールから作っているという思い込み

安部司を追いかけるのもアホらしくなって、このブログは放置状態で、コーヒーのナントカがポリフェノールで体にいいとか(じゃあ十数年前の環境ホルモン騒ぎは何?)、ネットの宣伝では青汁やらコラーゲンなんとかの洪水で本当にアホらしいのだが。

もうあべし以外のネタに【番外編】と付けるのもやめる。めんどくさいから。

しかし、mixi経由で、食品関係で、久々に突っ込みどころのある香ばしい記事があった。

天然の着色料の色って何から作っているの?

この記事のテーマである「天然の着色料」に関しては確かに調べた形跡があるわな。例のコチニール色素とか。「上白糖より三温糖の方が体にいい」という迷信があるけど、砂糖を煮詰めてカラメルで色が付いたのが三温糖なのだから、成分としては上白糖も三温糖も同じと考えて良い。

しかし冒頭がダメダメ。

合成着色料はタールや石油などを原料にしていますが

過信は禁物なWikipedia(悪徳商人・小若順一の項目では「勇名をとどろかせた」「キッカケをつくった」とやたらと持ち上げているが、市民は騙せても現実の政策に及ぼした影響は殆どないだろう)でも見ろ。「『タール色素』は、過去には原料の芳香族化合物がコールタール由来だったのでこの名があるが、現在ではコールタールを原料に合成されることは殆どない」ぐらいのことはわかるぞ。この「貫井康徳@dcp」というライター自身が、まさに「天然着色料は安全で合成着色料は危険」というバイアスが先にある。

実は「天然着色料の中にも人体に影響を及ぼすものがある」という見解もあります

それを言うなら、現実に使用禁止になったアカネ色素の一件にも触れるべきだろうが、こと色素に関して言えば、健康への影響は「無視できるレベル」と言い切って良いだろう。

何故か? 色素というものは、本当に、ごく微量で効果を発揮するものだから。実際に食紅でも使ってみればわかる。ちょっとでも入れすぎたらドギツイ色になるから。ある飲料にタール色素である「青色1号」が入っている、これは発がん物質だという騒ぎがあったが、その飲料を飲み過ぎで、糖分の過剰摂取で体を壊すことは出来ても、色素でがんになることは現実的に言って不可能。

私は「食品業界とは無関係」と公言しているとおり、全くの未経験だが、零細化粧品メーカーにいて、ヘアマニキュアの開発でタール色素を扱ったことはある。あれをやると青い鼻くそが出たりする(笑)。本当。