ナチュラルグループ本社・崩壊か?

我楽者さんからネタを頂いた。

安部司を講師に使っていた、アニューことナチュラルグループ本社が大変なことになっているらしい。

健康情報(株式会社データ・マックス)

ナチュラルグループ本社でいったい何が !?
ナチュラルグループ本社の元社員から匿名投稿

「記事を読みました。元社員です。この会社は組織で犯罪の認識がありながら、顧客から金を集めています。3年物ブラジル酵素で一口630万円で3 年でギフト券を200万円以上とし契約しています。アニュー北海道の○×取締役は社員を洗脳・脅迫しながら金集めをしています。真実を暴いてください。私も洗脳されていました」というもの。
 ナチュラルグループ本社は1973年に設立された自然食品販売会社。「食の安全」をスローガンに全国にフランチャイズ展開を行ない、300店舗を超えるネットワークを形成している。同社の自然食運動は「アニュー運動」として知られている。
 同社内では先月から、カリスマ的存在の橋本幸雄会長の責任問題をめぐり、役員と幹部、店長らとの間で激しいつばぜり合いが演じられているようだ。原因の1つとされるのが、投稿にあるように、2006年に同社が1口600万円(投稿では630万円)で販売を開始したブラジル酵素(ビンテージ酵素)だ。同社は資金繰りのために、酵素を熟成するためには3年間が必要として、1人あたり3年の期限で1トン単位1口600万円の価格で顧客に販売した。満期払い戻しの期日が先月だったといわれている。

ナチュラルグループ本社、橋本会長退任か
ナチュラルグループ本社の橋本会長、解任へ
ナチュラルグループ本社、取締役会で富田氏の代表就任を承認

 同社に対してはこれまで、NET-IBに多くの匿名の投稿や電話が寄せられている。ほとんどは「ブラジル酵素」の販売にまつわるものだが、ほかにも「チタンネックレスの販売」や「商品券の振り出し」に関する話もある。一部を紹介する。
「この会社に勤めていた者ですが、この会社はコンプライアンスも何もあったものじゃないです。販社によっていろいろな方針は違うとは思いますが、社員の過重労働は当たり前。早朝から夜遅くまで働きづめ。いつか労基が入ればと期待していました。理想的な事ばかり言い、御年輩の方に洗脳を行い、薬事にひっかる商法。消費者庁入って欲しい。チタンネックレス等の販売も機器を操作しながら数値が上がるといって年配者を騙す販売。良心が大変痛みました。うつになりかけました。また、商品券を返せるはずのない資金を集めて渡し、集めた金で営業をする自転車操業。消費者・勤めている社員を救うためにも一刻も早くポシャッて欲しい。お名前 : アニューよさよなら」(原文ママ
 これは匿名の投稿なため、どこまで根拠のある話かどうかは定かではない。そこでNET-IBでは一連の騒動を含めて、前後の事実関係を明らかにするために同社広報室に取材を申し入れたが拒否されるに至った。

ナチュラルグループ本社、熱い一日の幕開け
ナチュラルグループ本社の凋落(1)

<SKHとして誕生>
 1972年11月、ニュープロダクトプロモーションカンパニー(NPP)と称するSKHグループが、東京パレスホテルの一室を事務所にして発足した。これこそ、現・(株)ナチュラルグループ本社の前身にあたる。
 SKHとは、俗に「説明講習販売」とも「宣伝講習販売」とも言われており、特定の会場に人を集め、商品説明を行なって販売を促進する商法のこと。今でこそ「SF商法」や「催眠商法」などとも揶揄されているが、当時としては新しいスタイルの対面商法として注目されていた。「蝦蟇(がま)の油売り」の室内版と考えれば、わかりやすいかもしれない。
 ニュープロダクトプロモーションカンパニーは、旭硝子の耐熱ガラス食器「パイロセラム」の実演販売で売上を伸ばしていく。代表の橋本幸雄は北海道の出身。中肉中背でピンと伸びた背筋には礼節を、眉間の迫った黒目がちな瞳には人を惹きつける柔和さを、えらの張った風貌には頑固一徹な意志の強さを同時に漲らせていたという。
 翌73年、資本金200万円を元手に橋本幸雄代表が10名の社員を率いて、(株)ナチュラルウェアを設立し、正式に旭硝子の食器代理店となる。10月には旭硝子の資本25%を注入し、1,500万円に増資。本社を新宿区の西大久保に移し、全国紙に人材募集の広告を打つなどして急速に勢力を拡大していった。事実上、この年にナチュラルグループ本社も設立された。(社)日本緑十字社(東京都品川区)のホームページ上に掲げられた「沿革」にもそう記してある。それにしても、ナチュラルグループ本社と同社はどういう関係にあるのだろうか。後者は前者の政治活動団体と明かす関係者もいるが、定かではない。たしかに、日本緑十字社の理事長には政治家も就任している。
 日本緑十字社は、74年7月に「地球の健康づくりを目的に」設立された。日本緑十字社の現社長は正食運動(マクロビオティック)を推進する久司道夫氏である。正食運動といえば、玄米食を主張する故・石塚左玄桜沢如一が提唱したマクロビオティック理論の流れを汲むものである。枝葉が広がりすぎると本文の主旨を逸脱してしまうため、詳細には触れないが、いずれにしても、ナチュラルグループ本社と日本緑十字社はクルマの両輪の役割を果たし、補い合いながら発展してきた向きがある。
 その双方の中核にあるのがアニュー運動だということをここでは押さえておきたい。アニュー運動とは、「安易に薬や病院に頼らず」「自分たちの健康は自分たちで守る」「地域の健康や環境は地域で守る」―という運動で、究極の目標にナチュラウェルネスシティ(NWC)構想を描いている。つまり、豊かな自然環境のなかで、人と企業と社会が共生共栄するための思想とノウハウを集めた理想郷づくりだ。たいへん耳ざわりの良い言葉で、共鳴した人びとがユートピアを目指すだけなら何ら問題はない。しかし難しいのは、そこにさまざまな利害関係が交錯し、ユートピアを目指して集まってきた人々に対し、ユートピアを盾にとって違法な商売が行なわれることにある。

<食と環境に着目>

 橋本代表に一大転機が訪れたのは、翌74年のことである。戦後20数年間、国を挙げて高度経済成長を享受していた我が国だったが、一方では公害汚染が各地でひき起こされるなど、それにともなう訴訟も相次いで争われていた。大量生産・大量消費に警鐘を鳴らす知識人も多く、やがて高度経済成長の負の部分が浮き彫りにされはじめていく。橋本代表は当時、農薬問題を告発した米国の女流作家レイチェル・カーソンの著作「沈黙の春」に大きな影響を受けている。同書は環境活動家のバイブルともされ、我が国では環境ホルモンの危険性がクローズアップされた90年代にもベストセラーとなった。
 「沈黙の春」に出会ったのとほぼ同時期、有吉佐和子出世作となる「複合汚染」が朝日新聞紙上で連載されはじめる。橋本代表は同書を読破、大きな感銘を受ける。それと前後して次のようなエピソードも伝えられている。
 ある日、知り合いの産婦人科医を訪れたときの話である。「妊婦の4人に1人が、健康な赤ちゃんを授かることができない」と語る医者の言葉に愕然としたという。おそらくこのとき、食を通じて汚染されていく胎児の悲劇、農薬による環境汚染がもたらす罪深さが彼の読書体験に重なり、日本を取り巻く四季豊かな自然環境の危うさを内面的に直視するようになったのかもしれない。この瞬間、子を育てる親の責任にまで考えが思い至っていたかどうかはわからないが、少なくとも食の安全に対して強い関心を抱いたのは間違いない。
 同年、彼は静岡県清水市の営業所で後のアニュー運動の支柱ともなる5大スローガンを策定した(図1参照)。創価学会員といわれる彼の内面には、もともと宗教的な使命感と、目的に一途に取り組む生真面目さ、さらに人を惹きつけるカリスマ性が内在していたものらしい。善くも悪しくも、その資質が後に大勢の人々を不幸に巻き込むことになるのだが―。
 橋本代表は海外へも目を向ける。「潜在能力の開発」「国際感覚の練磨」「集中効果の促進」「共同体意識の醸成」―これらを目的とする海外研修を、橋本自らが団長となって東南アジアで開催している。19名が参加した。74年8月のことだ。そして翌月には、ナチュラルヘルスショップ第1号店を神奈川県の大和市にオープンした。彼の行動力の旺盛さには目を見張るものがある。翌75年には南米、台湾にも進出。無添加パンの開発研究を行ない、試作に成功している。
 同年、イメージキャラクターに人気グループ「クレイジーキャッツ」の石橋エイタローを起用してテレビCM放映を開始。翌76年3月には無添加パン『オー・ブレッド』の発表会を帝国ホテルで開催している。同8月には経営者を目指す判断基準を示したとされる理念書「経友」を刊行しているが、同書は同時に、日本緑十字社の理念書とも言われている。

私が思うに、生活クラブ生協のような、市民運動から起こった天然信仰も、同じ穴の狢である。神山美智子弁護士のような人に、消費者の味方を名乗る資格はない。

ナチュラルグループ本社の凋落(2)
ナチュラルグループ本社の凋落(3)

 NPO法人日本生活向上協会(東京都中央区)という団体がある。公安関係のOBが役員に就いているともされる消費者保護団体だ。消費者庁から検察に上がってきた案件の調査を行なう業務もあると言われている。事業者会員一覧には、電気温水器メーカーや健康食品メーカーに混じってNG本社ならびにアニューの全国組織が加入している。同団体で、NG本社のこれからのあり方が検討されているとの噂もある。NG本社とアニューを切り離した後に、NG本社を潰してしまおうというのである。
 そこに出入りしているのが、上記の広報担当、一説にはNG本社のナンバー2ともされる人物「S」だと言われている。もう1人のSなる人物らと別会社を発足しようとの動きもあるという。同社の本部は6月末の整理解雇を経て今では40人弱にまで人員を減らしているというが、アニューグループを含めるとまだ相当数の社員を抱えているはずだ。新会社を発足してわが身の安全を守るよりも、まずはグループ社員の救済が先決だろう。そのためには、ナチュラルグループ本社の闇を白日の下にさらしだすことである。

ナチュラルグループ本社の凋落(4)
ナチュラルグループ本社の凋落(5)

<集金マシン後援会を発足>

 NG本社凋落への引き金についてはさまざまに流布されている。一説にはバブル崩壊後の90年代初頭、同社のメインバンクが破綻したため、産業再生機構に移された債権を買い取るために金集めが必要になったとも、1984年4月に開校した東京健康科学専門学校との訴訟問題がきっかけになったとも言われている。いずれにせよ、何らかの理由で銀行からの借り入れがストップし、資金集めのために何らかの手段を編み出す必要にせまられたということは確かだ。そこで考え出されたのが、「後援会」を集金マシンにした金集めだ。
 同社が自社ホームページに掲げていた沿革によれば、「後援会」がスタートしたのは2003年5月のこと。利回り12%の商品券を1口100万円で顧客に販売した。4〜6年目は10%、7〜9年目は8%の金利を付けた。商品券はアニューの店舗で商品の購入に使用され、回りまわってナチュラルグループ本社に戻ってくることになる。結局3年間で100億近くを集金したものの、金利の支払いなどに滞りが生じた。
 打開策として福島県白河市に老人ホームの建設を思いついたと言われているが、これは頓挫した。「一生面倒をみるから」と持ちかけて、後援者から1人 900万円余の出資金を募ったものの、集金が思うように進まなかったという。事実、同社の受託製造会社であるバイオックスの事業案内には、介護用品の製造・販売が明記されている。
 ここで発案されたのが、悪名高い『ブラジル酵素(ビンテージ酵素)』だった。酵素は発酵から熟成するまでに時間がかかる。関係者によれば「市販されている酵素はだいたい1年〜3年モノまで、その熟成期間に応じた商品が備えられている。ビンテージ酵素に関しても熟成期間を口実に、1人当たり3年間、1口1t単位で後援会で売り出した。価格は1人当たり1口600万円〜630万円という高額商品。それでも、1人で6,000万円も買ったという顧客もおり、全体では3年で3,000tを売り上げたとされる。これは、630万円として計算すれば約190億円にものぼり、金利だけでも20億円規模の返済額だ。3年後の09年、当然のように金利を支払うことはできず、新たに再販モノや4年モノの酵素を製造して発売し、危機を乗り切ろうとした」。高輪の本社ビル売却も、金利に充当する資金づくりだったといわれている。そして今年6月、いよいよ4年の満期を6月に控え、同社をめぐる情勢はにわかに緊張し、同時にナチュラルグループのあいだでも綱引きが始まった。6月下旬に開かれた役員会や店長会議では、橋本会長の辞任を求める声が相次いだ。

ナチュラルグループ本社の凋落(6)

<NG本社とアニューの綱引き>

 これまでの経緯をみると常識的に考えて、後援会やブラジル酵素の販売を考案したとされる橋本幸雄会長の責任はもとより、それを後押しした山下利光副会長以下ナチュラルグループ本社幹部の責任は免れないだろう。一方で、アニュー側にも弱みはあるのだった。ブラジル酵素の顧客を新規で集めればアニューのオーナーには10%のコミッションが支払われていたといわれており、なかには1億円以上を稼いだ店舗もあるらしい。

 「関西で60億円から70億円、九州でも相当に拡がっていた」と後援会の被害を危ぶむ関係者の声もある。今のところ後援会メンバーによる訴訟は起こされていないというが、仮に刑事事件に発展すれば、出資法違反容疑で当局が介入する下地は十分すぎる程できている。否、「ナチュラルグループ本社の凋落(3)」でみてきたように、一部の関係者の間ではすでに当局の介入は行なわれているとも見られており、「橋本会長と山下副会長に責任を押しつけるための工作が始まっている」と明かす関係者もいることがNET-IBニュースの取材でわかった。現在、各地のアニュー店に謝罪行脚を行なっている富田義久代表代行は、ある地で、「4月の時点で逮捕は覚悟していた。家族にも話していた。しかし橋本会長は家族にも一言も話していなかった」という意味の苦言を述べ、その時点で橋本追い落としの腹を決めたと告白したといわれている。また、いまのところ「警察関係を止めている」とオーナーらを前に堂々と発言したというのだ。これが本当だとしたら、あるまじき行為である。
 7月の時点では、「橋本会長がブラジルに逃げ出すのではないか」と危惧する声も相次いでいた。アニュー店のなかには、店を閉めたいという声もあったという。あるメーカーは、「アニューのなかにもいろいろなスタンスがある。あるオーナーは、7月から別の店をやりたいと言い出した。健康食品の販売を始めると言っていたが、仕入れ条件を良くして留まるよう説得した」と明かす。
 7月22日、ナチュラルグループ本社は取引先の幹部を招いて幹事会を開催した。関係者の関心を集めたのが超ワンマンとされる橋本会長の去就だった。
 「カリスマ性のある橋本会長が辞めたら、倒産の道しかない」と断言する関係者の話がある一方で、「橋本会長と山下副会長は身を引き、第三者が代表に就くだろう」との話もあった。あとでわかったことだが、第三者というのが上述した富田氏のことである。複数の業界関係者の間で、このような話がまことしやかに囁かれていた。情報は錯綜していた。
 6月に行なわれた店長の集まりや役員会でも、橋本会長追い出しの気運が盛り上がっていたと言われている。なかなか結束を図れない理由の裏にはもちろん、橋本会長の飛びぬけたカリスマ性も見逃せないが、「ブラジル酵素」をめぐる深刻なトラブルが、同社内の役員のみならず、全国にまたがる約300店舗のアニューの店長や消費者のあいだに重くわだかまっているという事情がありそうだった。

ナチュラルグループ本社の凋落(7)
ナチュラルグループ本社の凋落(8)
ナチュラルグループ本社の凋落(9)
ナチュラルグループ本社の凋落(10)

<被害者は誰か>

 取材を進めるにつれ気になるのは、耳に入る話の大半が業界や我が身の保身しか考えていないような身勝手な話に聞こえてくることだ。不景気の世、それも致し方のないことか。とはいえ、一番馬鹿を見たのは、後援会でバカ高い酵素を買わされた支援者ではないのか(ただし1口1トン630万円ということであればキロ当たり6,300円となり、酵素商品としてはむしろ市場価格よりも安めのため、却ってその品質が疑われてもくる)。それとも、だまされた消費者にも責任の一半があるというのだろうか。確かにそれもあるかもしれない。消費者には業界の情報があまりにも不足しているからだ。業界の責任も否めまい。
 一方、関係者が証言するように、後援会やアニュー店などを通じ、霊感商法等を用いてブラジル酵素があたかも「万病に効く」かのように偽って販売されていたとすれば、そのことは薬事法をはじめとした関連法規に抵触するおそれがある。間接的には、健康食品をめぐる法制度上の不備がもたらした問題ともいえる。問題は複雑、かつ深刻である。
 先日、東京在住の読者から相談の電話を受けた。親戚にあたる女性が酵素商品を1口購入しているというのだ。以前、解約を申し出たものの契約期間中という理由で拒否されたという。
「金額が金額だけに心配になって・・・」相談の電話をかけたものらしい。相談者がNG本社のお客様相談室に相談を持ちかけてみたが、「あいまいな対応だった」と不満げに語った。最後に、「弁護士を立ててしかるべき対応をとりたい」と決然とした声で述べたあとに電話を切った。
 ある地域では7月頃、アニュー○×株式会社が「VT(ヴィンテージ)酵素オーナーシップ会員の期間満了の解約について」という文書を地域のアニュー全店に送達している。後援会メンバーによる解約の申し出にあたって、申請者に対する諒諾の優先順位を示したものである。限られた資金をどこにどう振り当てていくか、いよいよ同社も躍起になっている様子がうかがい知れて興味深い。果たして真の被害者は誰か?

ナチュラルグループ本社の凋落(11)
ナチュラルグループ本社の凋落(終章)〜ご意見メール紹介