郡司和夫とTOSS

少年犯罪が「増えた」のは食のせいだという郡司和夫の論で、ネオむぎ茶を生んだのは食のせいらしいという陰謀。

あのTOSSで郡司の論を取り上げて「食育」を推進すべしというのがあった。トンデモ同士は相性がよろしいようで。

TOSSランドNo: 4100015 更新:2012年12月16日
学級懇談で取り上げたい「食」の話題 17歳は何を食べてきたか。

“食糧問題研究家”小倉正行は、現代の牟田口廉也か

Business Journalのうんこぶりは各個撃破しても埒があかないほど酷いが、こんなのもあった。

危険な合成ホルモン剤残留牛肉、日本は大量輸入で野放し 発がんリスク、世界中で禁止

筆者の「小倉正行」というライター、『TPPが国を滅ぼす』というような本も出しているらしい。輸入食品は危ないから云々と、これもよくあるチンケなオオカミ少年

で、その記事で使われている写真、どうも「使役用の水牛」と思われる。

肉牛と使役牛の区別もつかなかった馬鹿といえば、牟田口廉也。旧日本軍の中でも稀に見る愚将として悪名高い。使役用の水牛に補給物資を運ばせ、ついでに糧食にしようと「ジンギスカン作戦」なるものを発案したが、肝心の肉は食えず使役牛としても役に立たず、おまけに敵からは格好の攻撃目標になってしまった。

その小倉正行、この記事では肩書きは単に「ライター」となっているが、2014年の記事では「国会議員政策秘書」とある。書いていることは同じなので同一人物に間違いないと思われる。ではどの議員かと調べると、日本共産党・紙智子参議院議員らしい。

左も右も一緒くたになって迷信を振りまいている、お寒い現状

郡司和夫は犯罪者か

前回のエントリで書いたBusiness Journalのトンデモ記事。それが載って程なくして、それを意識したか、産経新聞が伝えた。

【日本の議論】山崎製パン「添加物バッシング」の真相は? カビにくいのは「無菌製造だから」 臭素酸カリウムは残留ゼロ&現在使用せず

 山崎製パン中央研究所の山田雄司所長は「確かに以前は一部の製品に臭素酸カリウムを使っていた」とし、その理由を「パンには不向きの国産小麦をふっくらと焼き上げるため」と説明する。カビにくくするなど保存のためではない。そもそも臭素酸カリウムは保存性を高めるための添加物ではない。

 山田所長は「分析機器の精度が上がり、ごくわずかな臭素酸カリウムの残留まで調べられるようになった。安全を確認できる態勢が整ったからからこそ使用していた」と胸を張る。「臭素酸カリウムを使ったパンを食べたくない」と思う消費者のために、使った製品には自主的に「臭素酸カリウムを使用しております」と表示してきたが、現在は使用していない。

郡司が「山崎は臭素酸カリウムをやめろ」と書いたのはこの直前であり、ないものをなくせといっていることになる。

すでに使っていないにもかかららず、山崎は危険な発がん物質を使っている、なくせという行為は、「虚偽の風説」の「流布」であり、信用毀損・業務妨害罪にあたるのではないか。

(信用毀損及び業務妨害
第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

山崎製パンばかりバッシングするのは、『買ってはいけない』以来、絶対に訴えられないとたかをくくっているからだと思われるが、信用毀損は名誉毀損と違って非親告罪

そう言うと、「山崎が臭素酸カリウムをやめたのは知らなかった。『故意』はない」と言い逃れするかもしれない。

もしそうであれば、山崎製パン臭素酸カリウム問題を追ってきたと自称する「食品ジャーナリスト」は、いわば「同志」である渡辺雄二が「山崎に臭素酸カリウムをやめさせた!」と豪語していることも知らなかったということになる。いくらなんでもそれはないだろう。

記事を拡散したBusiness Jourunal=サイゾーと、その記事を配信したサイトも同罪。

メディアの方々がここを読んだなら、切に訴えたい。

郡司のようなトンデモ「ジャーナリスト」を使うのはどうかやめていただきたい。あなた方も訴えられるかも知れない。

高校生にも劣る「郡司和夫」

こんなへっぽこブログにもかなりのアクセスをいただいているようで感謝。

どうも「郡司和夫」で検索してここに来られる方が多いようで、なにかやらかしたかと思っていたが、強烈なトンデモ記事を書いていた。

山崎製パン「ランチパック」「芳醇」、発がん性物質指定の添加物使用、厚労省が表示要請
 
Business Journalがトンデモ記事をばら撒いているのは気になっていた。昔からある陳腐な有害論で、いちいち各個撃破するのは面倒臭いやと思ったが、困ったことに多くのポータルサイトに配信されているので目に付きやすい。このBusiness Journal、軽自動車が軽油で動くという記事を配信して日産自動車が注意を呼びかけるという大ポカをやらかしている。想像するに、編集者はろくに原稿をチェックせずに載せているのだろう。ディーゼルエンジンの軽自動車なんてないこと(過去には「ヤンマー・ポニー」が存在した)など一般常識レベル。

トランス脂肪酸は牛肉などにも含まれていますが、これはシス型のトランス脂肪酸で、含有量はごくわずかなため心配はありません。

シス型のトランス脂肪酸一目見てずっこけた。「シス」と「トランス」、対義語ですぜ。どのくらいずっこけかというと、例えて言えば「男性の女医」、「チビな巨人」。

シス・トランス異性体は高校化学で習う。郡司和夫は「食品ジャーナリスト」と大層ぶったところで、高校生に及ばない馬鹿だったわけだ。

郡司和夫に捏造記事を書かれたという種苗会社の告発がある。

タネへの恐怖を煽る女性自身の記事を検証する

和同会のことと、水まきおじさん・酒井宏祐

和同会のことを書いたのは、実は「自分がかつて騙されたニセ科学」だったこと。よくも騙しやがってムキーッ! 血液型性格判断なんかは元々眉唾だと思っていたが、これにはまんまと騙されたから。

最後のクリニックを閉鎖する頃には気づいていた。和同会のやり方はとにかく体験談至上主義。○万人の証言とか治療実績とか。『やっぱり治る』も体験談で埋め尽くされているし、体験談を丸々一冊の本にもしていた。「優れた」レポートを提出した者には有料席のただ券や、通常は認められない治療器の貸し出しという飴も用意していたから、体験談を捏造する行為も横行していた筈。だから一般論として、体験談は信用してはいけない。

会長・山田武敏、検索すると中国のサイトで「医学博士」と紹介されているものがある。「ドクター山田」とは称していたが、前に書いたとおり医師ではないし博士でもないはず。ニセ科学でありがちな、ディプロマミルの「学位」を名乗ることはなかったが。しかし中国で崇められている(?)のを見ると「日本の恥」と言いたくなる。中国の人に言いたい。そいつはペテン師だ!

権威付けによく用いたのは海外メディア。国内のメディアは伝えない。それは和同会が言うには、国内メディアは朝日新聞に遠慮しているからだと。朝日を叩きたい奴は腐るほどいるわけで、朝日憎しとばかりに、結果的に提灯記事をばらまいたところもあった。海外では、米軍の「星条旗新聞」をはじめこれだけ伝えられている、いまや海外では色盲が治ることは常識だという論法。いや、どう考えても海外でも非常識だろう? 広告塔は関亮名誉教授。

色盲のほかに、ダウン症自閉症といった先天性のものを含め、アトピー・花粉症・うつ病等さまざまなものが治ると称していたのだが、よくよく気づくと、命にかかわるような重篤な疾病はまったく対象にしていない。山田武敏がJPJCシステムを考案したのは、自身がベーチェット病に罹患してその治療法を考えたことからとしているが(そのベーチェット病も自ら完治させたとしている)、そのベーチェット病が治るとした形跡はない。

つまり、ニセ医療でしばしば問題になる、ニセそのものは薬にも毒にもならない代物であっても、まともな医療から遠ざけた結果手遅れになってしまう、そういうネグレクトとして訴えられるリスクはほぼないということ。この辺は「アトピービジネス」に通じるものがある。

2ちゃんねる色盲色弱のスレになると、和同会経験者が数人は釣れるようだ。それほど「史上最強の色盲療法」、ただし効果があるという意味ではなく、悪名が高いということ。

多いのが、「スタッフが横柄だった」という声。

色弱・色盲スレ↓

337 :病弱名無しさん:04/01/29 22:49 id:ln3DM/SJ
俺は学生時代、警察官になりたかった。そのために色弱を治そうと、
幼い頃に見た新聞広告の記憶を頼りに、「博多メディカルクリニック」 という名前を電話帳で調べ、意を決して治療に向かった。バイト代だけ では足りずに、サラ金に借金までして、その治療にすがった。
本当の自分を取り戻すために、ただ『普通』になりたいがために・・・。
そして、幼いころからの夢、警察官として人々の役に立ちたい、ただ そんな素朴な夢のために。
でも何度となく通って、多額のお金を投資しても、一向に治らない。
壁に幾枚も貼り付けられた石原式の検査表は色あせ、正常でなくても その検査表を読み取ることは容易だ。それなのに、バイトで雇われた 白衣を着た看護婦もどき(資格など持っていない)のスタッフは、
「だんだん良くなっていますよ〜。回数を重ねれば治るんですよ〜」

院内には、まるでオウムの麻原のように、山田の声テープが流れる。
「和同会の治療を批判する医師達がいるようだが、全く根拠のないこの 批判のせいで和同会の治療が危機に瀕している。みんながもっと治療に 積極的にならなければ。自分たちで自分の首を絞めているのだ」云々。
当然治らない治療をしていたので、大阪、博多、目白のクリニックは閉鎖された。治療途中の人々を残し、搾り取れるだけ取って、山田はどこかへ 姿をくらました。
博多クリニックが閉鎖される前、治療の成果が出なくて苛立つ俺に、バイト の女スタッフがこう言ったのを忘れない。「治療続けるも続けないもあなたの 自己責任よ。もっとポジティブに考えれば?私なんかこのバイトがなくなっても しばらくプーやって、また新しいバイト探すわ。この位気楽に考えなさいよ」
現在俺は夢を諦め、国家公務員となった。別の形で人のために役立ちたいと 思ったからだ。
あの当時の事はもう過去の事だ。
どうこう言っても始まらない。でも、今でも苦い思い出になっている。
もう顔も忘れたあの女。にまた出会ったら、今の俺は何と言うだろうか・・・・。

 
さて、山田武敏の後継者(?)、高野清允なる人物を調べて出てきたのが一般社団法人地球と水と命なる団体。リンク集を見ると「ナノテクノロジー有限会社。「碧い海」なる妙な機械を売っている。「地球と水と命」と「ナノテクノロジー」の両方のサイトに「水まきおじさん」酒井宏祐なる人物の講演が載っている。「ナノテクノロジー有限会社 顧問」とある。

一般社団法人 地球と水と命 と「碧い海」との関係について(pdf)

いや、あからさまだろう? 「地球と水と命」、少なくとも「サトルエネルギー学会」のような「同業者の互助会」ではない。「ナノテクノロジー有限会社」と実質同体、ここで以前書いたナチュラルグループ本社と日本緑十字社の関係と似たようなものだろう。公益法人を金儲けに使う連中は虫唾が走る。

そこで「酒井宏祐」で検索すると、さらに胡散臭いことが分かる。

特定商取引法違反の連鎖販売業者に対する取引停止命令(6か月)について(pdf)

バイオシーパルス事件ってあったな! 有限会社マイクロエネルギー研究所代表・特定非営利活動法人日本波動科学研究会理事とある。

本件商品及び本件商品で生成した「波動情報水」に関して講義を行っていた。

水まきおじさんの講演とやらも、やっていることは同じだろう。

社長のつぶやき:あすから沖縄・・・LWAの研修会

この1年近く社団法人「地球と水と命」の
理事 酒井宏祐先生 にイロイロと教えていただいているのですが
波動測定器を開発した方だけに、その経験と知識には感服しています。
(また、酒井先生は40年ほど前
山下昭治先生のもとで水の研究もされていたとか・・・)
この知識が会員の先生方の次世代相談薬局の礎になると確信をして
残る人生を、この仕事に打ち込みたいと思っています。
私達の経験や知識が、仲間の若い先生方に継承でき、くすり屋っていい仕事だよね・・・
って思っていただけるように邁進したいです。

「波動測定器を開発した」、πウォーターの山下昭治キター! もうこれは筋金入りの「と」。

しかしここまであからさまとは。少なくとも和同会には、波動系水商売との接点は見出せなかったから。山田武敏が各方面に相当広い人脈を持っていたのは事実と思われるが、ニセ科学界隈で有名な人士で、和同会の方で名前を聞いたことがあって、もしかしたら関係があったかもと思われるのは七田眞くらい。

高野清允・元紀文食品代表取締役専務と一般社団法人「地球と命と水」

前回のエントリを書いてからいろいろ検索してみる。

クリニックを閉鎖してからの動向はよく分からないが、封書が来たという。2ちゃんねるなので、ネタ元としては割り引くとしても。

健常者が色覚異常者に色を教えてあげるスレ PART1

11 :病弱名無しさん:2012/08/14(火) 16:24:36.24 id:Nr3EBCdd0.net
おいおい、
今さら和同会から封書が来たぞ
クリニック再開するって
特にカモだった方にご案内させていただいておりますだとよ

12 :病弱名無しさん:2012/08/14(火) 16:36:47.83 id:Nr3EBCdd0.net
クリニックの場所は確定してないけど今年の9~10月開院予定だと。
つきましてはクリニック再開のための協力金30万円を9月20日までに下記口座に振り込んで頂きますようお願いしますだとw
振り込め詐欺だろコレww

13 :病弱名無しさん:2012/08/14(火) 16:46:05.60 id:Nr3EBCdd0.net
で、会長山田の後継者として紀文の元代表取締・役高野清允が決まったんだと
いいのか?
と思ってググったらこの人波動とかそういった方面に入れ込んでるのね
騙されやすい人みたい

18 :病弱名無しさん:2012/08/17(金) 16:54:15.59 ID:5GFJSk+n0.net
>>16
山田は生きてるけど、持病と歳でボロボロらしい
万病に効くと大言壮語していたJPJCシステムでも治らないらしいw

振り込め詐欺の疑い濃厚だから、本当にクリニック再開するかどうかわからないよ。

「高野清允」って何者? ググる

地球と命と水;;高野清允のご紹介

科学の進歩によって、この世はすべて物質とエネルギーで成り立っており、またエネルギーはイコール波動であるということが明らかになっています。
波動の働きを理解する簡単な方法は、よく知られている音叉です。
音叉は、一方を叩くと唸りを上げて振動(振動は波動である)しますが、もう一方も同じように唸りを上げて振動します。これが「共鳴」です。振動を発するものに共鳴し同調するのは音叉だけでなく、ほかの物質でも動植物でも、もちろん人間にも普遍的に見られる性質なのです。
一般的に人間は、自分のリズム、つまり自分の波動にあった音楽がかかると、神経活動が活発になり、生体はその波動に会わせた活動をし始めるのです。
ある商品が良く売れるための最も重要な条件は、それが人を幸せにする商品であるかどうかということと、それを売る人が人を幸せにしたいという意志(心の波動)を持っているかどうかです。言葉を替えていえば使命観を持っていることだと思うのであります。人は誰でも幸せになりたいと思っています。売り手と買い手の心と心が正に共鳴したときに売買は成立するのです。
このような視点に立って、一般社団法人「地球と水と命」は、天から与えられた稀有な物質である水の大切さと、水を活用することの素晴らしさを啓蒙してまいります。

ありゃー。

山田会長との繋がりは豆乳からか?


目白の残党らしい。

院長のご紹介 〜塚見院長のプロフィール〜

塚見史博 (鍼灸師

院長の紹介

  • 20万人の色盲治療を達成したことでも知られる、目白メディカルクリニックで20年間勤務し、塚見式耳針治療の基礎を考案する。
  • 2005年、若杉文吉医師と出会い、当医師の治療法であり240種類もの病気を治す「星状神経節ブロック療法」と同様の効果が塚見式耳針療法にあることを教えられ、耳針療法の治療範囲が大きく拡大。
  • その後、若杉医師や他の医師の協力、8万人以上の実証データを経て、塚見式耳針療法が脳の血流を改善し自然治癒力を賦活して病状を回復する「根本治療法」であることを実証し、独自の耳針療法を確立する。

主な適応疾患名

色覚異常はないが、がん・アトピーアスペルガー認知症・高血圧・痛風・・・・・・。鍼灸ってそんなに万病に効果があるのか?

【特別編】“色盲治療”和同ドクターズグループ・山田武敏

安部司から離れて斜め上に迷走中の本ブログだが(別ブログは諸事情から公開停止)、ニセ科学関連で、個人的によく知っているものを調べていたのでまとめておきたい。

史上数多現れた「色盲療法」のなかでもおそらく一番有名なものである。

和同ドクターズグループ(通称・和同会)とは、目白・新大阪・博多の3箇所にクリニックを開いていて、1980年ごろから2001年に目白が閉鎖されるまで20年以上、色盲色弱が治るという「治療」を行っていた。率いていたのは山田武敏会長。

この「治療法」を「JPJCシステム(ジャスト・ポイント・ジャスト・チャンネル)」と称した。簡単に言えば、頭に電極をつけて、微弱パルスを与えるというもので、石原式検査表のパネルが見えるようになるというもの。

mixiレビューに、懐疑論者コミュでおなじみだったと学会会員、故・志水一夫氏が書いたものがある。

やっぱり治る色盲色弱―世界が認める治療効果
(和書)

1984
ベストセラーズ
山田 紀子, 和同ドクターズグループ

【 ずっと気になっている本 】
 
朝日新聞』 がまったく取材せずに医師のコメントだけで 「まやかし」 だと報じた時に批判的なコメントをしていた、獨協大学の関亮教授が推薦している本。
 実際に訪れてみたら治っている (色が見えるようになっている。遺伝要素まで治ったわけではないそうです) 人がいたので驚いたらしいです。
文藝春秋』 や 英語版 『PHP』、さらには 『噂の真相』 までも肯定的に報じ、毎日新聞編集委員による肯定的なルポ (土屋省三 『私は見た色盲が治る事実を!!』 高木書房、1981) も出ていたのですが、クリニックは2001年に閉鎖になってしまいました……。

やり方としては、笑ってしまうくらい典型的過ぎる、教科書どおりのニセ科学そのものである。「治療法」は査読論文どころか学会発表すらしていない。うん万人も治ったという証言がある(=体験談)。これだけ証言があるのに眼科医会の石頭どもと、結託した朝日新聞は潰しにかかっている。ニセ科学では頻出する構図といえる。

『やっぱり治る色盲色弱』の著者・山田紀子とは「目白メディカルクリニック」の当時の院長で皮膚科医であり、山田武敏会長の妻。

この本だが、図書館や学校関係にばら撒いたので図書館では容易に見つかると思われる。興味のある方は読まれたし。

いったいいつの時代に書かれた本かと思うほど、山田武敏会長への個人崇拝に終始しているのだ。変な点がある。普通、医者の本だと出身大学や経歴は明らかにされるものだが、山田会長の経歴は不明だ。1928年新潟県小千谷市生まれ、旧制長岡中学卒(「和同会」の名前は長岡中学の生徒会から借用したもので、論語の「君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず」に由来)というくらい。海外で活動しているときに難病のベーチェット病に罹患し、その治療法を考えているうちにJPJCシステムを編み出したとしている。実は麻布獣医科大学(現・麻布大学)卒でそもそも医師ではない。

システムとしては驚くほど巧妙に練りこまれたものといえる。患者(和同会は「クライアント」と呼んでいた)から治らないと訴えられることもなく、法令違反に問われることもなく、朝日新聞以外のマスコミから叩かれることもなかった。おそらくニセ医療史上でも稀に見る「成功例」だろう。由井寅子の100万円ホメオパス養成など目じゃない。

治療費は前納制だった。小中学生10万、高校・大学生12万、一般14万。治らないと思っても、ほぼ泣き寝入り。言うまでもなくお金は持っているほうが強い。しかし和同会は治らなかったという人はいないから完治しているとしていた。

男性の20人にひとりといわれる色覚異常、あまり省みられることもなく、かなり不当な差別を受けてきた。そういう人をターゲットにして、10数万円というのも庶民にも出せない額ではない。新聞などに書籍の広告を打って、「これだけの大学や企業には入れない」「これからの時代、コンピュータ化・オートメ化すなわちカラー化だから、色盲色弱を治さないと取り残される」と不安を煽る。

朝日新聞だが、1980年の暮れに「色盲“まやかし”療法」という記事を載せた。眼科医会が治療自粛の申し入れをするという内容(和同会側は、その申し入れなるものはついぞなかったとしている)。その記事を書いた内山幸男記者による講演がある。下手なフィクションよりも面白い。

http://nodaiweb.university.jp/cms/letter-pdf/letter-38.pdf

 目白メディカルクリニックは、もともと皮膚科医院だったが、評判が悪く、患者も少なかった。その年の春頃までは、エステや鍼灸にまで手を出していた。紀子が武敏と結婚したのも、エステの患者の顔を傷つけてトラブルになり、ヤクザに絡まれていたところを武敏が話をつけたのがきっかけだったと後で知りました。

 武敏は麻布獣医科大卒で、数回の離婚歴もある詐欺師。その中には著名な芸術家で大金持ちの孫娘もいました。さて、武敏は紀子と結婚したのはいいが、医院は火の車。そこで、何かぼろもうけできることはないかと考えて、たどり着いたの良導絡もどきによる色覚治療。なぜ色覚治療なのか。ポイントは、色盲色弱の治療なら治らなくても文句は言ってこないだろうし、多少文句は言われても、絶対訴えられることは無いと読んでいたからです。現に、目白メディカルクリニックでは 10 万人近い人が「治療」を受け、直接の治療費の被害額だけでも百数十億円、宿泊、交通費なども入れれば、1000 億円近い損害があったと思います。でも、誰一人として訴訟を起こした人はいません。

 裁判になって、警視庁防犯部が内偵中だったことが分かった。しかし部長の異動で、「医療問題は難しいから」と捜査を打ち切られたという。担当刑事は本人が色弱で「こうしたインチキは許せない」といっていた。朝日新聞社でこの記事を扱った社会部デスクも色弱だった。警察も、朝日新聞社も当時は「色覚正常であること」が入社条件だった。ごまかして入社したのだと思う、もちろん、そうやって潜り込んだことが問題なのではなく、そのように個人的に解決してきたため、意味のない就職差別が長く続いてきたといえる。

志水氏は、和同会側の言い分を鵜呑みにして「『朝日新聞』 がまったく取材せずに医師のコメントだけで 『まやかし』だと報じた」といっているが。

システムが巧妙なのは、過去にもいかがわしい行為をしてきてその経験から練りあげたとも考えられる。悪徳商法ではよくあること。

紀子医師(=和同会)側は朝日新聞社と、記事を書いた内山記者を相手取って名誉毀損訴訟を起こした。一審は紀子医師側のほぼ全面勝訴といえるものだった。しかし控訴審で逆転、上告も棄却され敗訴が確定した。10年以上かかっている。

この敗訴が和同会にはターニングポイントになったと思われる。それまで書籍は基本的に紀子医師名義で出していたが、紀子医師は表から消えて(院長も辞めたと思われる。閉鎖時の目白の院長は某製薬会社の創業者一族だったと記憶)、武敏会長が表に出るようになった。スーパーシートとかイエローシートと称する有料席を乱発するようになった。洋楽が流れていたクリニックは山田会長の講演テープばかり洗脳のように延々流れるようになった。『頭がよくなる 偏差値が上がる』なる本を出して(この本のイラストを描いていたのが鉄道模型の世界では有名な漫画家・水野良太郎氏だった)、色盲治療以外の「頭がよくなる」治療や、ダウン症自閉症うつ病、果てはアトピー性皮膚炎など、ありとあらゆるものに効果があると言い出した。

また、パーマネント会員という制度があった。石原表が全て読めるようになったという人を対象に、TMC(東京医大検査表)やアノマロスコープでの検査も受けられるというものだった。会費は15万だったが支払い済みの治療費は免除されるので、10〜14万の治療費との差額で入会できるとしていた。しかし敗訴したころから、免除なし・一律10万とされた。

ちなみに「イエロー」だが、以前あったオフィシャルサイト(www.wado.co.jp)は黄色バックに黒の太ゴシック文字という、ウェブサイトとしては奇妙な色使いだった。実は和同会の書籍にはよく見られた。よほど「イエロー」が好きだったとみえる。

眼科医は、書籍を推薦したり裁判で証言するなど、和同会に権威付けをしていたのが関亮・獨協医科大学名誉教授。和同会も書籍の広告で関名誉教授推薦を常に謳っていた。

 判決でいう「一部でも治るという専門家」というのは独協医大の関亮教授だった。人はいいが脇の甘い学者で、通電(良導絡)により色覚異常が向上するという学会発表をした人。本人も当初私が会った頃は、「向上するという人はいるが、治るなどということはとんでもない」といっていた。しかし、5 年の間に接待攻めにでもあったのだろう。結局、裁判で原告側証人にたった時は、「これは素晴らしい治療だ」といった。じつはこの人は、シャープが「電気色神訓練器サンビスタ」というものを発売していたときの、支持者だった。 この「サンビスタ」という名は、いまはシャープの太陽光発電システムの名称として使われている。

シャープが「電気色神訓練器」で失敗した後、「真似した」松下電器が同種のものを売ろうとして失敗したという。和同会は一流電機メーカーのシャープ・松下にも出来なかったものに成功したと自賛していた。

一方反和同会の急先鋒だったとされるのが市川宏・名古屋大学名誉教授で、「日本色覚差別撤廃の会」で活動していた高柳泰世医師は市川名誉教授の教え子だという。

『良識ある眼科医はいないのか』という冊子があった。著者は息子が和同会のクライアントだったという主婦M氏で、新聞に盛んに投書を行っていた。それによると、眼科医のおそらく99パーセントはご存知ないが、残り1パーセントの方のみ詳しくご存知という「学者の意地の張り合い」、和同会の裁判などは、いわば関名誉教授と市川名誉教授の代理戦争だったという。この冊子の後半は、統一協会系新聞として知られる「世界日報」の連載「最新 朝日新聞事情」からの転載。和同会の書籍の一部は世界日報社が版元だった(和同会が統一協会と関係あるかどうかは知らない)。

和同会は、関名誉教授以外の眼科医からはほぼ白眼視されていて、眼科医会は総力で和同会を潰しにかかっているとしていたが、実際は高柳医師などもほぼ孤立無援だったという。眼科医でも色覚異常の専門家はごく一握りしかいないとされる(治らないものとされているものを積極的に研究しようともしないだろう)。今にして思えば、眼科医でも和同会を擁護したものも少なからずいた気がする。

今ネットで和同会や山田武敏会長に関して検索すれば、ほぼ詐欺だという評価で一定している。2ちゃんねるでは以下の内容が大量にコピー&ペーストされている。

山田武敏
色覚異常色盲色弱)は治ると言って、目白メディカルクリニック(和同ドクターズグループ)なる
医院もどきにて怪しげな治療を行い、高額な治療費を取り続ける。
色覚異常は治ること無く、治療費は返還されること無し。朝日新聞紙上にて取り上げられる。
朝日新聞を裁判に訴えるも、敗訴。
目白メディカルクリニックを閉鎖して逃亡する。
現在、脳力回復支援センターなる施設を高田馬場に開設。
長岡高校卒

一説には目白メディカルクリニック閉鎖後中国に拠点を移したとも言われていたが、名前を変えて活動していたらしい。

和同会は「JPJCシステム」以外にもさまざまなものに手を出している。皮膚科だからか、水虫・ヘルペスなど皮膚関係が多かった薬を売っていた。名前は「マーベラス」。山田会長が自身の体で人体実験をして安全だとしていた。山田会長の体では問題が出なくても、人によってアレルギーが出るということもあるだろうと思うが。

ciniiで「山田武敏」で検索すると、「発酵乳の抗アレルギー効果」なるものが出てくる。発酵乳に関しては「微生物含有製品の製造装置(実登3012756)」という実用新案登録があるほか、度々特許を出願しているのが分かる。実際クリニックで「製造装置」や種菌を売っていた。「パルス波通電システム(特開2001-129100)」はJPJCシステムそのものか?

「頭がよくなる」治療を受けてボケ防止になっていたといっていた人物に、三宅和助・元駐シンガポール大使がいた。

無用の用〜高井伸夫の交友万華鏡
高井伸夫の「交流懇話」〜第4回 6月17日(月)帯津良一先生を囲む会(2013年8月 2日)

 布施田様からは、かつて存在した色覚異常色盲)のためのクリニックに関するお話を頂きました。「もう30年以上前に子ども達の治療にあたり、その数20万人を下らない。そのクリニックには、治療後2,3か月の子どもたちが赤や青の色を使うようになって描いた絵が飾られていた。治療法の開発者である山田武敏氏によれば、“色覚治療だけでなく認知症への効果も認められ、当時68歳の元外交官も物忘れと視力の改善を告白している。論理的に説明することより、パルス(微弱電流)が脳を刺激することによって脳が活性化すると仮説を立てて挑戦している”。」のだそうです。

「当時68歳の元外交官」が三宅のこと。帯津良一といえば、ホメオパシーは医師のみで独占されるべきとしている(従って由井寅子の「日本ホメオパシー医学協会」や「日本ホメオパシー振興会」とは対立関係にある)、「日本ホメオパシー医学会」の会長じゃないか。

小沢一郎と親密だったとされ、娘は三宅雪子・元衆議院議員。晩年先物業者に騙されて家や財産を失ったとされるが。『やっぱり治る』に推薦を寄せ、山田会長の叔父(母の弟)だったというのが長谷川信・参議院議員。一審勝訴の頃に出たビラで色覚異常に関する超党派の議員懇談会なるものがあったというが、この懇談会には戸井田三郎・元厚生大臣江田五月・元参議院議長らが名を連ねていた。和同会は政治家にもコネを有していたのだろうか。内偵していた警察が捜査を打ち切ったというのも何やらきな臭い。

和同会の「色盲治療」はなくなったが、今も一部の鍼灸師が「色盲が治る」と称する施術を行っているらしい。和同会の最初の本『色盲色弱は治る』では良導絡を同じように取り上げていた。当時の良導絡団体の幹部が山田会長と親密だったとされる。『やっぱり治る』では和同会以外には治せないとしていた。

ただし、内山記者および「撤廃の会」にも苦言を呈しておく。

更に「被害を防ぐために未だ図書館にある詐欺の本を取り除かなくては」と言われました。

「図書館の自由に関する宣言」を読んでほしい。「詐欺の本」だろうが図書館で気軽に調べられるのが健全な社会というものだ。これでは「つくる会」関係者の本を破棄した司書と同じだ。ましてやジャーナリストの言葉としては到底許されるものではない。

「撤廃の会」も、よくある排他的な「市民団体」という印象を受けてしまう。この種の排他性が、運動に対する偏見を招く。

「“まやかし”療法」の記事が出た当時の背景として、富士見産婦人科事件があったが、この有名な事件、著名な医師がでっち上げだとしている。この事件のスクープをしたのも同じ朝日、「医療の荒廃を突く」報道キャンペーンがなされていたという。ただ「世論誘導」は朝日よりも和同会の方がずっと上手だった。