かつて添加物を売っておいて、家庭に責任転嫁する気か(安部司講演会その3)
安部司の言う「添加物の5つの働き」とは次の5つ。
- 安い…そこそこの原料で、それなりの味
- 簡単…安全と思いたい、人のせいにしたいというわがまま
- 便利…安部は何故か「CO2」を口にした。地球温暖化に無理やりこじつけたいらしい
- 美しい…銅クロロフィルナトリウム(カイコの糞)(?)
- 味が濃い(オイシイ?)…中国人は食べない品(??)
「そうめんは3分では戻らない」。かつて安藤百福氏は小屋にこもって、製麺機で指切断までして、2分ですぐおいしいチキンラーメンを編み出した。ヒントになったのは天ぷらだという。先人の、文字通り血染めの努力に対する冒涜ではないのかね。
先ほども書いたとおり、聴衆の多くは女性、親子連れである。そこで、香具師安部の殺し文句だ。
「(味を)覚えさせたのは、おうちだから」
お母さんにとっては、自分のせいで子どもにもしものことがあったらと、とても不安に思うものである。その心理に巧みに付け込むものではないか。実に腹立たしい。安部はかつて添加物を売っていた。わが子が、自分の売った添加物入りのミートボールを美味しそうに食べているのをみて、会社を辞めたという。わが子が食べているのをもし知らないままだったら、今も安部は添加物を騙し騙し売っていたかもしれないのだ。そんなお前に、上から目線でそんなこと言う資格があるか!添加物の責任を消費者に転嫁する気か。
「20年前から」「大沢先生」「無差別殺人」「砂糖」……
大沢先生とは大沢秀行氏のことのようだ。その方がどう言っているかは不勉強にして私は知らぬが、安部の論法、要するに、ここ20年くらい、子どもは知らずに砂糖を摂りすぎていて、キレて無差別殺人を起こすらしい。酒鬼薔薇聖斗やネオむぎ茶のことか。何言っているんだ、浅沼刺殺、嶋中事件、少年ライフル魔、永山則夫……昔も凶悪な少年犯罪は起きているよ。馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。
「厚労省は腰が弱いから(添加物に関する詳細を)書かせません。大手(食品会社)の圧力か知らんけど」
大手の圧力?? すわッ! こいつは陰謀論者だったのか? 安易に政府を叩くのは日刊ゲンダイとかが得意な、いわゆるタブロイド思考という奴だ。
『買ってはいけない』に、特定の大手企業(例えば山崎製パン)を執拗に叩く傾向があったのに対し、安部は加工食品のパッケージを一杯見せて、どれも同じだといわんばかりの姿勢である。日清食品、マルちゃん(東洋水産)、サッポロ一番(サンヨー食品)、理研ビタミン……おっと、高校生の頃に工場見学したことのある、ヒガシマル醤油があったのを、私は見逃さなかったよ。地元のたつの市でこれやったら顰蹙ものだ。ヒガシマルのうどんスープ、あれは偉大な発明だ。
講演の終わりの方に、安部はチャート図を見せた。「食の安全への理解」の高低と、「お金をかけるorかけない」。
- 食の安全への理解も高く、お金をかける…積極型(5.5%)
「食と農」は生命の源であるので、安全なものなら多少高くても買うし、援農活動にもなるべく参加
- 食の安全への理解は高いが、お金をかけない…分裂型(52.4%)
食の安全を求めながら店頭では安い農産物に群がる。風評被害の原因となる層
- 食の安全への理解は低いが、お金をかける…健康志向型(16.6%)
家族の健康や食の安全性を守るために、食生活に注意してるし、生協の購入活動や青空市場などもよく利用
- 食の安全への理解は低く、お金もかけない…無関心型(23.0%)
食への関心はなく、安ければ何でもいい層
日本は、安全な食品が豊富に供給されている、世界で最も恵まれた国だ。それ自体に感謝しなければ、本当にバチが当たるぞ。
おっと、「白い粉から豚骨スープ」の実演について書くのを忘れていた。が、この実演には何の意味もなし。従って解説はしない。まあ「白い粉」のなかには、「たんぱく加水分解物」のように、「食品添加物」の定義には含まれないものもあったのだけれども。
(続く)