【番外編】信州志賀一・業務停止命令

タイトルに反して、安部司以外を扱うことが増えているが、“悪徳商法マニア”には超有名企業だった信州志賀一に業務停止命令が下った。
消費者庁:訪問販売業者【(株)信州志賀一】に対する業務停止命令について(PDF)
東京都:「こんなに使わない」「高すぎる」等と断っている消費者に「すぐなくなりますよ」等と執拗に勧誘し、多量の樽入り味噌を販売していた事業者に、業務停止命令(6か月)

「信州」を名乗りながら千葉県の会社で長野県には営業所すらなく、「志賀」は社長の姓。

味噌の訪問販売は以前から苦情が絶えなかった。それというのも、2007年まで特定商取引法の「指定商品」に味噌が含まれていなかったから、クーリングオフ出来ないという法の不備を突く形で横行していたから。2007年に味噌などの調味料が「指定商品」に追加され、さらに2009年の改正で指定商品制が廃止され、原則全ての商品・役務を対象とすることになった。指定商品・指定役務を個別に指定するやり方を取っていたのでは、ペットだの墓石だの、常識的に訪販では扱いそうにないようなものまで扱う業者が出て来ていたちごっこになることは自明だった筈(そもそも、30年以上前に訪販法を作ったときに何故指定商品制をとったんだろう?)。

東京都の発表資料で筆者が個人的に注目した点はこれ。

従業員数:216名(うち、営業員183名)

つまり、従業員の大半が営業。製造部門の実態は不明(もしくは自社では製造していないファブレス?)。
安全・こだわり原材料
「信州で代々伝わる熟練した蔵人」「本格的な無添加の信州最高峰の味噌」だのいろいろ「信州」にこだわっているが、いくら言い繕ったところで「信州」とはおそらく無縁(OEMの委託先が長野だった、というようなオチはあるかもしれないが)。

消費者庁の資料によると、価格帯は以下のとおり。

「秘伝かくし造り」約6千円(3㎏)〜3万4千円(20kg)
「国産特別仕込み」約1万2千円(4㎏)円〜4万6千円(16㎏)
「大地の極み(有機)」約1万8千円(4kg)〜3万5千円(8kg)

[rakuten:japan-ds:10214655:detail]
このうち最高額商品である「大地の極み」は有機JAS認証を受けていた有機JASのイメージにも傷をつけてしまったな。有機JAS認定にもちろん「売り方」は無関係だが、「売り方も商品価値のうち」である(その考えを良い方向に利用しているのが高級ブランドだ)。消防署の方から来た消火器屋の消火器でも火は消える。

信州志賀一も、「スーパーで売っているような他社の味噌には添加物一杯」というような「無添加商法」を行っていたと聞く。同社の商法は威迫・困惑型の古典的な押し売りだったが、本ブログの見解として、安部司のような的屋も、日本消費者連盟生活クラブ生協のような声だけでかい自称・市民団体やある種の生協も、本質的に同じ穴の狢であるとしておく。

(付記)
他のブログで取り上げられていたが、どうやら本当に「信州の会社から仕入れているファブレス企業」であるらしい。「秘伝かくし造り」の同等品はおそらくこれ。
タケダ 天然醸造信玄かくし造り 1.5kg